※桓騎×女+信
※桓騎視点
※合意してません




「来い」
桓騎は男へ有無を言わさず命を下した。肢体は確かに熱く、鼓動も速くなっている。背には汗がにじみ、燭の火が揺れ動く度に筋肉の陰影が変わっているのを映し出す。それを男は眼にし、時々固唾を呑んでこの交情を凝視しているのは視線が痛いほど女と、そして桓騎自身に突き刺さっていたことを桓騎は無論知っていた。故に、この行為に加わる事は当然であり拒むものなら即刻女の首を捻る準備も出来ている。
肩に掛けている手はすぐさま首を締め上げても桓騎には何ら支障はない。寧ろ締まりが向上し射精を促すまであった。
男はのっそりと肩を持ち上げ自分の傍までやってくる。乳首を愛撫させ終わり寝台の端で小さく座っていた男は、いつもの強く鋭い眼光な形を潜め、遠慮しているのか伏し目がちに顔を俯けている。
女の肩から手を離し、肋と腰骨の間の脇腹を強く掴む。腰は緩く挿入を繰り返し空いている手を持ち上げ、男の顎をひっつかんだ。無理やり顔を上げさせ、結合している部分を見せつける。女の外の襞が桓騎の陰茎を離すまいと必死に食らいつき、桓騎の腰が膣壁を擦る。一定の感覚で聞こえてくるぐちゅりという卑猥な水音がより興奮をかきたてるが男は視線だけを逸らし、直視が出来ないと言った面持ちを見せた。
普段呼びつけて交接している時と何ら変わりないのに、まるで初めて行為を体験する生娘のような反応をする。もう二十代だと言うのに女の経験が一つもないのはこういった気性からくるのだろうか。桓騎は単純に不思議に思う。己自身と相違しているのは当然分かっている。それでも周りは既に男の年で女を抱いていない者の方が片手で収まるほどの人数だったので、男色の気でもあるのかと思いきやどうやらそうではないらしい。
ともすれば操を立てていると言うことになる。その小さな誇示をすぐさま破り捨てさせてもよかった。今抱いている女に無理やり上に乗らせ、桓騎が筆卸を眺めているのもまた一興だったが今は気分が何故か乗らない。
初めてだと言うのに肉棒を離そうとしないこの女に捨てさせるのは違うような気がしてならなかった。桓騎は今日のところはこのまま抱くという方向に決定する。
「尻向けろ」
「はぁ?」
「隣で四つん這いになれっつってんだよ」
「隣……?!」
目を見開き、桓騎に言われたことへ驚きを隠さず声が裏返った男の口へ、顎にかけていた指を二本何の断りもなくいきなり突っ込んだ。歯を立てようものなら鳩尾に拳を入れてから静かにさせようと思ったが、舌根を関節を曲げ掴んでやると次に何をするか気がついたらしく、必要以上に歯は立ててこなかった。桓騎は自然と口角が持ち上がりそのまま気分を僅かに昂揚させながら舌を撫でる。
縦に大きく開かせ横に開いていた指を手の甲を外に向け縦にする。中指を人差し指を交差させ、蠢く舌を掴み緩やかに扱く。唾液が徐々に溢れ口腔を濡らし、女とは同様ではなく弾力と厚みがありそれでいて柔らかさも兼ねそろえている舌の表面はざらざらとした膣壁とはまた違った感触を楽しんだ。手前へ、奥へ細かく手首を押し引く。指全体に唾液がまとわり、指の腹をゆっくりとふやかされる。鼻で呼吸をする余裕が無いのか吐き出される吐息は湿っぽく熱を帯びている。
唾液がとめどなく溢れ、指を動かす度に飲み込めなかった透明で少し泡立っている液体は口端から伝い落ち、男の口元を汚す。抗うことをせず、行為だけは受け入れる。この歪な関係を男はどういう感情で受け止めているのだろうか。桓騎はふと疑問に思ったが胸の内にしまっておいた。今はただ、たのしめば良い。
指を引き抜き、男を四つん這いにならせる。男と臀部を並べて女は桓騎の陰茎に貫かれながらはしたない嬌声を上げ続けている。声が上がる度に小さく肩を震わせ、顔を背けようと首を深く捻り寝台に耳を押し付けている。男に腰を高く上げさせ、まだ硬く窄まっているひだに先ほどまとわりつけた男の唾液を塗りつけ、そのまま二本の指を肉壁へ埋めていく。排泄箇所である秘所は女にもついている。興味本位で双丘を片方割開くと、ひくひくと突き上げてやる度に収縮し、物欲しそうにしていた。男へ指を突き入れてなければこちらに指をいれるのもありだったと桓騎は思ったが、すぐさま興味をなくし男へ挿入している指へと意識を移す。
指の腹で軽く内壁を押し、そのまま入口のすぐ際まで指を引く。手の甲を返して二本の指を縦にし、入口を広げて腸壁が蠢く様を空気に晒す。言うまでもなく桓騎は女に集中し、男の尻穴など見たくもなかった。こうすることにより男の羞恥心を煽り、隣にいる女と同じことをしているのだと自覚させる。
「広げんなっ…!!」
壁際へと顔を向けながら抗議の声を荒げ、両手で阻止しようにも腕の長さの違いから桓騎の手首へと男の手は届かない。空を引っかき、無情にも寝台へと落ちていく手の平は次に来るであろう快感に耐えるべく、褥を握りしめたのが桓騎の目の端に映る。
広げていた二本の指は中へと潜り込んでゆく。女とは異なった筋が直に伝わってくる締め付けと、ざらざらとしていない器官は同じ粘膜だが自ら保護するための汁は出てこない。
「あっ、……っぐ、……うぁっ、」
苦しさからか男の口からうめきに近い声が漏れ出す。耐えてはいるものの、流石に痛みを伴っているようで指を体内から出すべくひっきりなしに入口をきつく締め、追い出そうとする。桓騎にはただ誘い、もっと奥、その先にある快楽をひたすら実直に追い求めているようにしか思えなかった。
男の拒絶を余所に、太い関節までしか埋めていなかった指を根元まで進め内壁を懐柔していく。進めば進むほど女の子袋と同じく、迎え入れ甘やかそうと腸壁がまとわりついてくる。男根を知ってしまった排泄器官は交接の度に形に馴染んでいるような気がしてならない。
女の奥はどうだろうか。腰を女の白い薄い尻へと叩きつけて奥を比べてみると、一際甲高い声が女から上がる。
腕を折り、握りしめていた手を離す。女が男へ手を差し伸べ肩に触れようとしているのが目に映り、桓騎は瞬時に血が沸騰しそうなほど熱くなった。その感情はどこからきたのか何故そうなったのか全くわからない。しかし、許可なく男に触れらたことにより女に興味を無くしたのは事実だった。
「おい」
「あんっ」
「断りもなく、勝手に触るな」
腰のうねりを抑えつけていた手をすぐさま首に指をかけた。急に空気が変わった気配に気がついた男が首を反対に回すと今の光景を見て目を見開いた。
「テメ、何してんだ!!」
「勝手に人のもんに触ったからだろ」
「触った?何にだよ」
「何って」
桓騎は言いかけて、言葉を喉の奥に仕舞おうとしたが敢えて男に投げてみるという選択を取った。男がどう反応するか、桓騎にほんの僅かに好奇心がもたげる。
「お前に」
「俺はテメェのもんじゃねぇし、触ってきても関係ねェだろうが」
首を持つ手に力が込められる。男は桓騎が予想した通りの答えを返し、交接中でしかも尻穴に指を埋め込まれているというのに、艶の無い会話を平然と行う。この男の性根が桓騎の感情を昴ぶらせているのだと改めて思い知った。指を掛けていた女の首をわずかに絞めるとうめきを上げ陰茎に絡みついている柔肉が緊張し、肉竿を軽く締めつけられる。これ以上気道を絞め上げると男が切りかかってくるだろう。そうなっても特に問題はなかったが、自身の気分が盛り下がる。
未だに桓騎を睨みつけている男の菊座を一度二本の指で開き、これ以上は進めないという所まで指を侵入させる。
「あ……っ?!っ、ぅあ、ッ……」
良い所を掠めたのか、上擦った声が男から自然と漏れ出たようで睨めつける為だけにこちらに向けて視線は褥へと戻される。薄い麻布に深く皺を作り、握りしめて耐える様子はいつ見ても滑稽で愉快だった。耐えずとも啼けばそれ様に快感を与えてやると言うのに、一切素直になろうとしない。
「自分の手で扱いとけ」
桓騎は男へ提言を独り言のように呟き、なおざりにしていた女との交接をそろそろ終わらせようと大きく腰を引いて、最奥を穿った。
「あぁぁあっっっ」
男の菊座を解す指はそこそこに、桓騎自身の熱を鎮めるために女の雌穴を突き上げる。その度に女の愛液は溢れ、卑猥な水音を室に響かせていた。
自分で扱け、と伝えた相手の腕に目をやるといきり昴った陰茎を手で掴んでいるようで、時折淫汁と粘膜が擦れる音との間に、また違った水音が混じるのが聞こえる。隣で行われているこちらの性行を眼は背けながら音だけを耳にし自身の男根を慰めながら後孔を弄られるというなんとも惨めな姿を目に焼き付けておく。強請る口実にもなるだろう。
言い付けを素直に実行している男に気を良くし、桓騎はいよいよ高みへと登り始めるために、男の秘所から指を引き抜き、女の脇腹をがっちりと掴んで引き抜いた指の手のひらを女の腰裏に手を当て、腰が跳ね上がるのを阻止し最奥に亀頭を何度も突き立てる。その度に蜜穴は感極まり、とろみのない愛汁を吹き上げた。
「あるじさまぁっっもうっっ」
女は幾度も達しているようで、いよいよ最後という折に桓騎に媚びる甘ったるい声をあげ強い刺激を求めた。桓騎はそれに無言で答えるかのようにより深く、陰茎で膣肉を深くえぐった。
「――――――っっっっ!!」
奥の奥まで穿たれた女は声にならない声をあげ、白い首と背を仰け反らせながら盛大に絶頂した。内壁が何度も跳ね、粘膜は何度も収縮を繰り返し桓騎が雁首でしこりを引っかきながら肉茎を引き抜くとその拍子で潮が勢いよく漏れ、褥を濡らす。
桓騎の肉竿はいまだ達してはいなかった。女では刺激がもの足りず、また初めてにも拘わらずこうも簡単に快楽に堕ちていく者はつまらない。追い上げさえ手軽に感じてしまい、女が気をやる頃には桓騎はすでに女との行為を退屈とさえ思っていた。
絶頂し、内股が痙攣しつつ何も考えられない様子の女を寝台の上から床の上へと転がす。これから男との交接には邪魔以外の他でもなかった。
男はと言えば、女の絶頂と同じくしてどうやら一度達したらしく白い粘り気のあるよく知る臭いの汁が男の手を汚している。
「惨めだな」
「扱けっつったのはテメェだろーがクソ桓騎……!」
「従う必要は無かったのに?」
「しねェとあいつがテメェに殺されっだろうが!!」
よくわかっている。命に従わなければ即刻女を頸っていた。男を最初に脅し、功を奏したことに桓騎は口角をほんの僅かにあげ、男の腰に手をやり肉茎の切っ先を窄まりにあてがう。腸壁は充分とはいえないがほぐされ、何もしていないよりか良い程度には柔らかく、迎え入れるだろう。会陰に膨らんでいる裏筋を数回こすりつけ、ゆっくりと肉壁へと沈んでいく。やはり女の膣道より幾分狭く、締め付けもかなりきつい。
「っ……」
「はっ、あっ……!きつっ……、抜けって……!!」
この期に及んで抜けと言われ、誰が大人しく抜くのだろうか。桓騎は男の言葉を無視し、腰を推し進めて最奥まで侵攻していく。柔らかく絡みつき、身体は抜くことを嫌がりはせず、それどころか誘引をしてくる。己の知らないところでもしかしたら抱かれているのかもしれない、と頭を過る。他の男に抱かれてようが、女を抱いていようが関係ない。
桓騎は腰を突き上げ、男の内壁に埋め込まれているしこりを無遠慮に突き上げ背が山のように形をかえ、何度か上下をする。男は痛みにも似た快感に堪えたようでまだ陰茎から汁を漏らしてはいないようだった。
「あっが……っ!!っ、桓騎っ……!!」
名前を呼び、腕を掴もうとする。女とは違い、男は腕が多少なりとも長く、桓騎の手首を掴み止めさせようとしているようで、桓騎はこれ幸いと言わんばかりに瞬時に手首を捕まれていた手を返し、男の手首を掴んで胸を反らさせる。より根元まで深く結びつき、雁首で腸壁を擦り刺激する。
掴まれた手首は未だ熱をもっている気がした。それほどまでに男の手のひらが熱かったのだろうか。
桓騎は上体を前傾し、口元を男の耳朶へと持っていく。赤く腫れ上がった色をしている縁に息をふっと吹きかけると、存外内が反応した。どうやら男は耳も性感帯のようだった。
「随分と具合がいいな。他の奴にでも抱かれたか?」
「っあ、んな訳、……っねェ、だろっ……!んんっ、……クソ、ヤロォ……!」
裏を返せば桓騎にだけ抱かれていると言っているのだが、おそらく口にしている当の本人は気がついてはいない。その応えに下瞼を思わず押し上げてしまった。入口ぎりぎりまで腰を引き、肉竿を押し込む。身体の内にある臓物が飛び出すかと言うぐらい強く打ちつけ、その度に男は奥歯を強く噛みしめ喘ぎを押しやった。戦場での深い傷の痛みに耐えるような仕草はこちらが一方的に痛めつけている光景にもとれるが、男が耐えているのは痛みではなく快楽だ。懐柔しその上で蹂躙させることに造作はない。ただそこまでの意志の強さがあるか、ないかの差だ。
腹を押しつぶすかのように腰裏に手を起き無理やり寝台へと男の身体をぐっと押す。先ほどとは違う箇所に亀頭が触れ、腸壁は悦んで陰茎を離そうとしない。
捕まれていない男の腕がもがき、最奥へと侵入を果たした肉竿から逃れようと往く当てのない手首はまだ皺になっていない褥へと伸ばされる。
「ぅあ……、ッ」
「最後まで、付き合え」
上体を押し倒し、男の背と自身の胸を密着させ男の伸ばされた手の甲へと自分の手のひらを重ねた。じっとりと汗ばみどちらの汗が分からないが重なった部分も粘膜を犯している部分も混じり合ってしまったかのようにどちらの感覚だか解らなくなってくる。桓騎の指が重ねた手の指の隙間を、間から掴み力を込める。骨同士が当たり、軋みが聞こえそうなほど強く握った。
そろそろ終わりも近い。桓騎も必然と息が上がり、白くせり上がってくる快感を追いかける。腰のあたりに神経を集中力させ快楽を集め、陰嚢へと向ける。子種を溜め込んだ袋はずっしりと重たくなっており今かと解放を待ち望んでいる。女では達することが出来なかった頂点へと駆け上った。
「下僕、出すぞっ……お前も、はっ……、出せ」
吐息に混じりながらそろそろ限界を伝える。まだ後孔だけでは絶頂することが出来ない男の陰茎へ手を伸ばし、鈴口と皮を同時に刺激する。先走りと放たれた白い精が入り混じり、滑りをよくさせ男は頭部左右に振り快感から逃れようとしていた。短い、獣尻尾のようなわずかに結ばれた髪が否定の意を見せているが、陰茎は扱く度に反応を見せ既に桓騎の手のひらの中で大きく育てられていた。
男は自分が犯されている輩の手のひらに裏筋を押し付けていることなど知らない。言葉より身体の方がよっぽど柔順で調教しがいがあった。その身体からどうやって堅牢な牙城を崩していくかを思案するのがまた楽しい。言うなればこれは戦だ。
「あっ、桓騎っ、手離せっ、」
「存分に、ッ……、出せ」
奥の、深く奥を突き上げ鈴口に爪を立てる。鈍い音が聞こえ、桓騎の下腹部と男の臀部へ打ちつける破裂音が室に響き渡る。
「も、……出るっ、や、っ……!あっあ――っっ!!」
爪を立てた途端、大きく痙攣をし括約筋が容赦なく肉竿を締め付けあげた。女の絶頂とは全く異なり、食いちぎられるほど強く、内はうねりを増した。桓騎も限界が訪れ、低く獣のようなうなり声をあげながら溜まり続けた精を、最奥へを吐き出し腸壁を白く汚していく。時折、自分の物だと覚え込ませるように亀頭で吐き出された欲を塗りひろげた。
陰茎を引き抜くと飲み込まれなかった精がとろりと窄まりから溢れてくる。楔を失った秘穴は収縮を繰り返し、餌を求めて口を繰り返し開け閉めしている小鳥のようだった。男は腰だけを突き出し射精のみ余韻に浸っているようで、力なくぐったりとしている。抵抗も見せず、このままもう一度致そうと思ったが、部屋に転がしてある女を最後まで弄ぶのも悪くない。まだ女の中に出していないことを思い出し、桓騎は居室に戻り一晩女を弄ぶ方を選んだ。
寝台から立ち上がり、机の上にあった麻布で身体を軽く拭く。それから未だ絶頂の余韻に浸りながら陰核に指の腹をあて擦り、腰をだらしなく振り続けている女を脇に抱え、室を後にした。
少なくとも満足感はあった。娼婦を抱いている時とは全く異なった高揚感。これがどこからくるか桓騎は知り得ていない。ただ、男の骨と筋肉で強張った身体では、肉体が充実していないらしく柔い肉を手が求めている。恐らくどんなに精を吐き出しても今日は男との交接を超えることはない。ただ女を貪り続ける事だけを考えた。飽きたら首を折れば済むのだと桓騎は胸中でほくそ笑んだ。
まだ夜が明けるには早すぎる。居室に着くなり寝台に女を転がし、臀部から秘所へと無遠慮に指を入れ掻き回すと未だとろりと溢れてくる密をかき混ぜ、女の顔を見ず、一言吐き出す。
「最後まで楽しませろ」
その言葉に女の身体が反応し、愛液が溢れ出す。身体がこれから起こる悦びを感じ取り反応したのだろう。この女に感情は持っていない。故に、桓騎には明日からの事など気にせず、またこれからどうなろうが一切知り得ないのだった。