※13/01/24~14/08/23まで掲載



今日も今日とて、ナツさんが可愛い。目の前で飯を口いっぱいに含んでもぐもぐと動かすナツさんは小動物みたいで本当に可愛い。次から次へと頼み、ひたすらもぐもぐとしているその姿が本当に可愛いんだけど、その量は一体どこに収まるんだろうといつも不思議に思った。でも、食べてる姿、本当にかわいいんだよなぁ。

「スティング」
「何?ナツさん」
「たべねーの?」
「食べるぜ、もちろん」

ナツさんに促され自分が注文した料理に手をつけるためにフォークとナイフを持つ。ナツさんはオレの事なんて全く気にせず食べ続けている。

「ナツさん、美味しい?」
「すげーうめぇ!」

もぐもぐと動かしながら、目を細めて笑うナツさんは本当にかわいらしい。出来れば目の前にある料理より、ナツさんの方が食べたいんだけど、そんなことを言うと多分顔を真っ赤にして怒るから、飯を食べ終わったら言うことにしてあげる。

ナツさん、本当にかわいい。



デート中!
(スティナツ)


* * * * *



「おー、新作でるんだー」

そう言うとナツは後ろを歩いていたオレなんて全く無視してショーウィンドウへ駆け寄っていく。
買い込んだ荷物はオレが7割、ナツが3割持っているがお構いなしで歩いて行く。いつでも自由奔放。それがアイツらしいといえばアイツらしいのだが。
ナツの視線の先にはシルバーリングが映し出されている。ナツの指には似合わなさそうなゴテゴテした装飾。どちらかといえば、悪友がつけてそうなイメージだ。

「…欲しいのか」
「えっ」

ぎょっとして、ナツが後ろを振り向いた。オレが後ろにいたことに驚いたのか、欲しいのかと尋ねたことに驚いたのかは分からないが。ディスプレイされている金額を見たら、たいした事はない金額だ。今現在の持ち合わせで充分な金額。値段を確認し、店に入ろうとするとナツがコートをめいっぱい引っ張ってきた。伸びるから止めろ、と言う前に手は離される。
店に入ることはやめ、ナツの方にむき直す。ナツの顔は地面に向けられているので表情は読み取れない。

「ラクサス」
「あ?」
「この店、ラクサスよく使ってるだろ」

確かに行きつけの店ではある。気に入ったアクセサリーがあれば買う。

「オレ、ラクサスにいつも世話になってるから、買いてぇな、って思って」
「…」

コイツは馬鹿だ。昔っからそうだが、今もそれは変わらないがそれに可愛いが足されてしまっているから始末に負えない。こんな昼間からこんなかわいらしいこと言われて、じゃあさようなら、と言える馬鹿が世界にいたら教えて欲しい。オレは無理だ。

「ナツ」
「なんだよ」
「まずは家に帰るぞ」

一発ヤって、それからその後の事を考えればいい。オレはナツの腕をひっつかみ、足早に家路を急いだ。

どうしようもない馬鹿ほど、かわいい。



デート中!
(ラクナツ)