あなたは『名前を呼んだだけなのに嬉しそうな顔をする』スティングのことを妄想してみてください。 http://shindanmaker.com/450823



彼は、自分の名前を呼ばれると、微笑んで此方をいつも振り向く。ただ、名前を呼んだだけなのにどうしてそんな嬉しそうにするんだ、と聞いてみると彼は自分にされること全てが嬉しい。オレを選んでくれて有り難う、とそれはそれは初夏の風のように爽やかに微笑んだ。顔が整ってるのだから、選びたい放題なのに、わざわざ男の自分を選んだ事を未だ不思議に思っている。
小さな公園で男二人がベンチに座っている。一方はお騒がせギルドのお騒がせ野郎、一方は若くしてギルドマスターになった自分の恋人。
自分がギルドマスターになりたいとは思わない。が、自分より年下で成り行き上とは云えギルドマスターになったのだから器が違うのかもしれない。だから、自分を選んだ、のかも。
彼を恋人と言うのには今もって気恥ずかしく、どうも気ごち無い。付き合って既に3ヶ月も立っているというのにで、ある。
彼は事ある毎に彼のギルドのメンバーに自分を恋人、と紹介する。オレの恋人なんだ、と。はにかんだ笑顔で、頬を少し赤くしながら。周りは引く事無く、むしろ落ち着くところに落ち着いたという顔をして、おめでとうと祝福してくれた。
ちょっと待て。落ち着くところに落ち着いた、はおかしくないか。自分で疑問を投げかけでみたが、答えは見つからず、納得する他無かった。納得はもちろんしていないが。
ベンチに座っている隣の彼は公園を見渡していた。休日の昼下がり、子供たちが元気に走り回っている。本日は快晴。雲は少ししか出ていない。雨雲も真っ青な顔になるぐらいの晴天。
真っ青と言えば、この彼の手の位置だ。自分の腰に手を回している。腰に手を回すことに真っ青ではなく、場所に真っ青だ。ここをどこだと思っている。外、だ。
少しは周りの目も気にして欲しい。たまに通っていく通行人が、好奇の目で此方を見ているのに気が付かないのか。そりゃ、中には気が付かない人間もいるが、大体の、それこそ大半が女性は気が付いている。
如何せん、彼との身体の距離が近い、近すぎるのであった。

「スティング」
「なんすかナツさん」
「ちけぇ」

自分、つまりはナツが、彼、スティングの顔をぐいぐいと横に押す。身体はよしにしても顔が近いのは勘弁願いたい。何せ、暑苦しい。
男二人が密着していれば、いかんともし難い光景である。
ナツは頑張って無理やり離そうとしているが、スティングは一向に離れる様子がない。どうにかして欲しい。

「スティング」
「ナツさん」

その、笑顔だ。これを向けられると途端に離さなくてもいいんじゃないのか、という悪魔の囁きが聞こえてくる。人懐っこく、優しい、自分だけにしか向けられない顔。
自分とくっついて居ることが、心底幸せですしょうがないです、と言うことが全面に押し出されて、影竜の彼が見たらばっさりと言うだろう。アホ面晒してるんじゃない、スティング、と。
自分もそう言えたらどんなに楽か。あくまでも自分は当事者で、第三者ではない。だから言い辛いのだ。

「…スティング」
「なーに、ナツさん」
「…離れる気、ある?」
「ないですよー」

さすが影竜の相棒である。ばっさり否定だ。ない。遠慮というものを彼は知らないのだろうか。いや、知っていたら今既にこうはなっていないはず。

「だって、せっかく会えたのに離れるなんて出来ませんよ?」
「あ、…そ」

また人懐っこい笑顔を向けて、自分に理由を述べた。気の抜けた返事ぐらいしか出来ないのは、恐らく自分がこいつに惚れているからだ。
落ち着くところに落ち着いた、はもしかしたら自分が彼に甘いことを見越してのことなのかもしれない、と無理やり自分を納得させて、彼の方に顔を向けた。

「仕方ねぇから、このまんま過ごしてやんよ」
「さっすがナツさん!」

スティナツはなんだかんだ言いつつ甘い!!!



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