「ナツさんのファーストキスって、オレ?」
「いんや、違うけど」
「えっ」
「リサーナ?じゃねぇかな。はっきり覚えてねぇけど」
「覚えてないんだ」
「うーん。うやむやっつーの?よく分かんねぇうちにキスされたような」
「どさくさ的な」
「おお、そんな感じ。ミラに囃されて?だったような」
「ホント曖昧なんだ」
「そうなんだよなー」
「じゃあオレとのキスは?」
「ん?」
「2回目?」
「あー、多分そうなんのか」
「じゃあ、セカンドかー。ファースト欲しかったなぁ」
「あのなぁ、お前七年前は出会ってなかったんだぞ」
「出会っては無いけど、ナツさんは知ってるしパレードで見てたけど」
「だろ?一方的すぎてキス出来るわけねぇし、そもそもー…お前が生まれてちょっとしてからじゃねぇの?」
「あー、そうなるのか。残念」
「…そんなことで肩落とすんじゃねぇよ。ばーか」
「馬鹿じゃないスよ!死活問題!ナツさんの初めてはオレが全部ほしいの!」
「はじっ、お前なぁ…」
「何」
「恥ずかしくねぇの?」
「恥ずかしくねぇよ。だって」
「だって?」
「ナツさんのこと大好きだから」
「…はぁー」
「何そのため息!」
「すっげー愛されてんだなって思っただけ」
「嘘だ!面倒臭ぇなこいつって思った!」
「…」
「半分当たってる」
「もう半分は?」
「…愛してんだろ?」
「!」
「恥ずかしいからこの話題終わり!」
「ナツさぁん!」
「抱きつくな!はーなーれーろぉ!」
ファーストキスにまつわる話
(スティナツ)
* * * * * * *
「なぁなぁ、ラクサスのファーストキスって誰だったんだ?」
「…んな事、誰に吹き込まれた」
「吹き込まれてねぇよ!気になったんだ」
「あー…誰でもいいだろ」
「よくねぇよ!」
「はぁ?」
「オレのファーストキスはラクサスが奪ってたんだからなっ!」
「…へぇ」
「なっ、何だよっ…」
「その年でまだだったのか、と思ってな」
「うっせー!どうせ女にもてねぇよ!」
「…」
「なんだよ」
「いや、…別に」
「なんだよそれ。ムカつく」
「そんなテメェは、何がお望みなんだ」
「…オレだって、ラクサスの初めて、欲しい」
「…」
「んだよ」
「お前は本当に馬鹿だな」
「何だそれ!ひっでーな」
「オレにとっての恋人はテメェが初めてなんだよ」
「!」
「恋人なんてロクなもんじゃねぇと思っていたが…」
「っ」
「なかなかいいもんだなぁ、ナツ」
「オっ、オレはそういう」
「オレが不満なのか?あ?」
「ちがくて!不満なんて、ねぇ…多分」
「多分かよ」
「だって、すぐ意地悪する」
「例えば」
「たと、えば…エッチのときすっげー焦らすし」
「悪ぃのか」
「悪ぃに決まってるだろ!ほんと辛ぇんだからなっ!
あれっ!」
「あー」
「あーじゃねぇよ!」
「で?」
「で?」
「それだけか」
「そっ、それ、だっ」
「なら不満ねぇな」
「うぐっ」
「愛してるぜ、ナツ」
「っっ…!!」
ファーストキスにまつわる話
(ラクナツ)