※最後まではしてないですが注意



オレは全く悪くない。帰ってきたら既に皆が出来上がっていた。なのでこの送り狼状態も悪くない。全部オレの所為ではないと断言する。
クエストから帰ってきたオレは、ギルドの中が騒がしいことに門の前で気がついた。そういえば、今日はジジィが宴をするどうのこうのと数日前に言っていたことを、この騒ぎぶりで思い出した。オレは別段興味がなく、宴に混じるといっても通常なら片隅のテーブル席を占領して雷神衆面々と飲み比べをするぐらいで終わる。フリードが勝負を持ちかけて、オレが勝つ。いつもこのパターン。今日もそうしようと門の前で考えていた。
門を開けるとまずは酒独特のアルコールの匂いが漂ってくる。皆が相当の量が入っているらしく、においだけでも酔いそうだった。オレは顔をしかめてそのままゆっくり開けるとギルドのメンバーたちは既に出来上がっており、てんやわんやの騒ぎになっていた。こうなるともうため息しか出てこない。
ひとまず今日の結果を報告するためにジジィの姿を探す。が、ミラジェーンのカウンターにはいない。まだ飲み足りないと言うカナを捕まえてジジィの居場所を聞き出すと、アソコ、と人差し指で居場所をさし、既に座っている目で物を言う。みると、ジジィは既に酔いつぶれており、テーブルの上でマスターの威厳はどこへやら腹をだして鼾を大きくかきながら寝ていた。
こうなるまで呑むな、と持病のこともあり再三ミラジェーンから注意されているのは知っているが、その姿はミラジェーンでなくてもため息がでる。

「おい、ジジィ」
「むにゃ…」

寝ぼけてんじゃねぇよ。帰ってきたんだ。たたき起こすのはありだと思うが如何せん以前の事と、持病のことがあり無理強いはしたくなかった。
とりあえず、報告書だけ書いて明日にでも提出すれば問題はないだろう。そう思い、クエストボードに取り付けられている報告書を持ってこようと死屍累々のギルド内を歩き出す。
ここまでするような事はあったか、と思ったがそういえば最近誰かの誕生日だったような気がした。誰だかは覚えていない。

「あ、ラクサスーおかえりー」

普段のうるさいぐらい元気な声とは違い、アルコールの所為かふにゃふにゃになった声音がオレの名前と帰りを歓迎した。
振り向くと、酒樽を抱いて真っ赤な顔のナツが座っている。その周りには既に寝ているウエンディとガジル、それにルーシィと3匹の猫が机に突っ伏していた。背中と腹が正しく上下するため、ナツ以外は皆寝ているようだった。

「…なんで酒樽抱えてんだ」
「オレっ、ラクサス待ってて-、ラクサスだと思ってたら本物のラクサスが来てーっ」

ケラケラと笑いながらオレに話をしてくる。そんな酒樽がオレに見えたのか。ナツも相当酔っているらしい。
普段からナツも呑む方ではある。下戸という訳でないし、宴会があれば率先して参加し、ひたすら飲み食いをするというイメージはあながち間違ってはいない。現にテーブルに置かれている皿は、ナツの周りにのみ積まれており、それと同時に戻されていないジョッキも山のように置かれている。

「それ、全部呑んだのか」
「そーっ、あのなー、ラクサス待っててずーっと、呑んでたー」

間延びをするほどコイツは呑んだ。その事実は変わらないわけでオレはため息をつきたくなる。どいつもコイツも全く駄目、というわけか。報告書を提出するのにこんなに時間を食われるなんて思ってもいなかった。宴会は既に終わっている。早く帰りたい。
いや、まて。ミラジェーンはどこに行ったのだろうか。先ほど目だけで探したカウンターにはミラジェーンがいないことは確認している。既に帰ってしまったのか。いや、もしかしたらまだいるかもしれない。

「おい。ミラジェーンしらねぇか」
「えー、ミラァ?なら帰ったぁ」
「は?」
「リサーナとぉ、エルフマンつれて帰ったぞぉーうーんとなぁ、もうなぁ」

それ以上言わなくていい。ナツの言い方からして恐らくかなり前に帰ったのだろう。下戸のエルフマンを連れて帰るのはあの兄弟姉妹でも容易ではないと、想像がつく。
一度ナツとの会話を切り、簡易的な報告書を書き上げる。成功した、報酬の受け取りも終わっている。そう書いて、ひとまず明日提出出来るようにクエストボードに貼っておいた。朝、誰かが恐らく気がついて提出してくれるであろうことを願いながら。
自分の名前をサインをし、画鋲で貼り付ける。もう帰ろう。自分が呑んだわけでもないのに酷く疲れを感じる。はぁ、と眉間に皺を寄せて一度ため息をつき身を翻すと、ナツがこちらをじっと見ていることに気がついた。
先ほどの酒樽は床に置かれている。

「…なんだ」
「もーかえんのかー?」
「だったらなんだ」
「おれもー、かえってねるー!」

勢いよく立ち上がりオレの元に駆け寄ろうとするが、相当酔っているので足下が覚束ず、走っているのだが蛇行している。物にぶつかろうが、人にぶつかろうが知ったことではないがさすがに放っておけず、オレはナツに駆け寄ってナツの身体を抱えた。ナツは赤ら顔で、おー、とだけ感嘆の声を漏らしただけだった。アルコールの匂いが身体中からする。カナと同じぐらいの量を飲んだのかも知れない。

「あぶねぇぞ…」
「らくさすありがとーなー」

自分が酔っていることを自覚しているのかしていないのかナツは屈託のない笑顔でお礼を言う。もっとしっかりしてくれ。
他の者とは違い意識があるぶんだけやっかいだった。寝ていたら無視できたのに。カナは放っておいといても大丈夫だ。普段からああだから、みな扱いになれている。しかし、コイツは違う。酔いつぶれるほど呑んだのか、もしかしたら呑まされたのか。
自分には関係無い事を考えてしまい、頭を振って迷惑そうな顔を浮かべる。が、今のナツにはそんなことは全く関係無い。全体重がオレにもたれ掛かってくる。重い。

「らくさすー」

舌足らずの声が下から聞こえてくる。見上げてくるナツの目はアルコールの影響で潤んでおり、行為を誘っているかのように見える。
と、まて。何だ誘うって。ナツは男だぞ。それはおかしい。

「…重ぇ」
「おくってけー」

コイツを送っていく事になったオレの運の悪さをこんなにも呪いたくなる日が次に来るなら教えて欲しいぐらいだ。

* * * * *

ナツがあまりにもふらふらと千鳥足になっているので、見かねたオレはナツをおぶっていくことになった。ナツはオレの背中で元気に歌を歌ったり、ルーシィやグレイ、エルザの話をした。今日はルーシィがドジを踏んで、グレイに喧嘩をふっかけられて、エルザが仲裁で殴って怖かった。こいつの日常だ。オレとは違った日々を過ごしている。
闇が濃くなり、月明かりとぽつんとある外灯だけがオレたちを照らしている。生憎快晴で、星が綺麗に瞬いている。夜空を見上げると、めいっぱいの星空が広がった。
そうこうしているうちに、自分の家に着く。ナツの家は少し離れたところにあるので、酔いが覚めたらさっさと追い返そうと目論んだ。水でもぶっかけてやれば、起きるだろう。そう簡単に考えていた。
ナツをベッドまで運び、仰向けに下ろしてやる。息苦しいのか、口でふぅふぅと小さく呼吸をする度、はだけている桜色に染まった整った腹筋が上下する。
こいつ、変な色気があるな。ちらりと目だけでナツを見ると薄く開いた唇から、ちろりと覗いた舌が見える。やばい。これは正直やばい。オレは送り狼にでもなるつもりだったのだろうか。否、その気は全くない。自分の性癖は至って通常で、女体を見ると興奮する。それは間違っていない。しかし、今はコイツに性欲がそそらているのも事実。
コイツを介抱しようと思ったが、その前に自分の理性が介抱どころか崩壊してしまいそうなので、このまま家に放っておけばいい。そうすれば勝手に帰るだろう。適当な店に行って女を買えばいい。
出て行こうと一歩を踏み出すと、手首が捕まれた。驚いて、ナツの顔を振り返ってみると、ナツの潤んだ目はオレをじっと見つめている。薄く開かれている唇は、何かを言おうとしていた。

「はなせ」
「らくさす、どっか、いくのか?」
「どこでもいいだろ」
「やだ、いくな」

一人が嫌なのか。理由は分からないが、置いていくなと頼み込まれる。この状態で、この台詞をいうのは反則だと思う。しかも、オレがコイツにそういう感情を抱いているのか知りもしない分だけ相当質が悪い。どうしようもない状態で腹を括ることにした。
もういい。オレはそのナツの一言で諦めがついた。明日コイツに嫌われようが、殴られようが、訴えられようがどうでもいい。コイツを抱くことを決める。ではないとどうにも治まらない。一人で抜くだなんてこの据え膳があるのにばかばかしい。優しくしてやるつもりは毛頭無い。コイツが抱ければ良い。
そう自分を慰め、ベッドに腰を掛けた。ナツは満足そうな笑顔を浮かべる。これからコイツを犯すっていうのに、無知っていうのは罪だ。

「ナツ」

オレはナツの頭の横に両手をついて、上から見下ろす形を取る。ナツは、ただオレを見上げてこれからされることの一つも想像できずにいるのだろう。全部お前が悪い。誘ってきたのもお前だ。そう押しつけて、オレはナツの唇に自分の唇を押しつける。酷く幼稚なキスだ、と心の中で思わず苦笑してしまった。
何度か角度を変えて唇同士を併せる。ナツは気持ちいいのか、抵抗などせず受け入れている。
嫌がらないのか。少しは抵抗を見せると燃えるんだが。特には口に出さずそのまま進めていく。
舌を出して歯列をなぞり、そのまま奥に侵入していく。ナツの舌は縮こまっており、その舌を緩く吸い上げてやると身体がびくりと跳ねる。驚いたのだろうか。
そのまま舌を絡めてやると、次第にナツからも舌を絡め始めた。引導するようにすると、もっとと言うように舌を絡めてくる。素質あるな、とぼんやり考えた。
唇から離し、意識がはっきりしないナツをそのままにして、マフラーを取る。その下には日に焼けていない健康的できめ細かい肌があった。
特に自分のものだとは思っていない。単純にその肌に吸い付きたくなり、鬱血跡を散らす。その感覚がくすぐったいのか、ナツは首を左右に振った。

「んっ、…んっ」

二、三か所つけた後、リップ音を立てながら下に降りていく。左手を肌に這わせ、肌の感触を確かめる。女とは違い、固い肌だが体温が上昇しているらしく肌に吸い付いてくる。腹筋の溝をなぞると、ぴくんと軽く反応を示した。
今度は上に手を這わせ、乳首を探す。乳首が小さいのか、触れても小さな突起があるだけだった。指の腹で軽く触ってやると、身をよじって反応する。感じるのだろうか。ただ、くすぐったいのだろうか。
暫く指の腹でなぞったり、時折人差し指の爪でひっかいたりする。その度にナツは反応をする。どうやら、感じてはいるみたいだった。

「はっ…あ、っ…、ぅ…っ」

ナツの少し声が高くなった喘ぎ声が聞こえてくる。アルコールが入ると少し感覚が鈍くなるのに対してコイツは敏感にでもなるのだろうか。
オレはそんな疑問を抱えつつ、ナツのズボンをくつろげる。紐で支えられている為、解くとあっけなく下に下がってしまう。今の下半身は下着だけが晒されている。
緩く反応しているナツの自身に手をかけてやると、大きく反応が返ってきた。軽く下着の上から擦ってやると、腰が揺れごく。

「あっ、らく、さ、っ…、あっ」

次第に固くなっていくのが分かり、下着も取り払ってしまうとナツの固くなった自身が飛び出す。オレの手に丁度治まるぐらいのサイズのそれはオレの手に触って欲しいらしく、先走りがとろりとあふれ出している。

「らくさ、」
「触ってほしいのか」

思ったよりも掠れた声が出てしまった事に自分でも驚いたが、それ以上にナツがコクリと頷いてきたことに驚いた。アルコールの所為なのだろうか。男に性器を触られて嫌ではないのだろうか。
その望み通り直に触ってやると更に先走りが溢れた。喜んでいるのだろう。喘ぎが押さえるものではなく、自然なものに変わっていく。

「あっ、や、らくさ、んっ、…あっ、そこっ、」

グチグチとわざと水音を立てて扱き上げてやると、従順に反応する。その姿に思わず喉をならしてしまい、オレは素早くベルトを引き抜いて、ズボンをくつろげた。脱ぐのもめんどくさい。
オレの固くなったそれを、ナツのそれに押し当てる。ぎゅうぎゅうと二本同時にこすり上げながらナツの自身にオレのを押しつけると、ナツは薄めを開けてコチラを向いてきた。

「えっ、ら、」
「んだよ…」
「さ、さわって、い?」

思いもよらない言葉に目を見開いた。触っていい、だなんてまさか言われるとは思ってもいなかったオレは呆然としていたが、その前にナツの手がオレの自身と、ナツの自身を一緒に握りこむ。ナツのオレより小さい手が、上下するのをみて思わず反応をしていまう。そのたどたどしい手つきと、早くなっていく呼吸にどうしようもなくなり、思わずナツの手の上からオレの手を重ねた。
自分の手なのに、自分の手じゃないようだ。腰が動き、ナツの裏筋を押しつぶすように動く。ナツもそれが気持ちいいのか、涙が一筋こぼれた。

「あっ、あ、っあぅ、らくさ、っ…!らくさすっ!んっ、あ、やっ、だ、…で、っ…!」
「でんのか…?」
「っ!あっ、やっ!みみ、やだぁ!イくっ、イくっ、からぁ…っ…ぁぅっ、っ!!!」

顔を耳まで持っていってやり思い切り囁いて耳の全体を舌で舐めると、びくびくと身体を強ばらせてナツはあっけなく達してしまった。どうやら耳は性感帯らしい。
オレもそのままになっているナツの手で何度かこすり達する。べっとりと、ナツの腹と自分の手に精液が混ざりあっていて気持ち悪かった。
ベッドサイドにあるティッシュで何枚か軽く拭き取る。ナツは達した所為なのか、恐らく慣れていない性交とも呼べない性処理につかれたのか眠ってしまった。
一瞬の気の迷いでこうなってしまった事をオレは別段悔いる事も無くシャワーを目指す。
朝、起きたらなんて言い出すかは何となくの楽しみだ。



恋はまだ始まってもいない