※アニメ75話のその後ネタ
※実物ナツは一回も出てきません。



それを見つけたのは本当にたまたまだった。一日暇をもてあましていたオレはレクターと町に出て適当にふらついていた。洋服を見たり、魔導具をみたり、飯を食べたり、公園でのんびりしたり。会話はとくにとりとめも無く、ナツさんどうしてるのかな、とか、お嬢早く結婚しねぇかな、とか本当にくだらない会話だった。
そんな時にふと古書店が目にとまり、店先の段ボールに投げ売りされてる雑誌を色々漁った。一冊10ジュエル。たたき売り状態。
オレはエロ本はいってねぇかな、というそんな単純な気持ちだったと思う。レクターと一緒にしゃがみ込んで雑誌をぱらぱらとめくり、またぱらぱらとめくる。娯楽から、専門書まで色々あった。痛みが激しいとか、ページ破れが多かった。オレもめざとくグラビア雑誌を手に取り、ぱらぱらとめくる。奥付をみると年数がたっており少し色あせてはいるが、グラビアの女は結構体格もふっくらと魅力的で、胸も大きい。今晩のおかずに使おうと思い、店内に入ろうと立ち上がったその時レクターが短く声を上げた。

「スティング君、スティング君!」

やけに声が興奮していて、オレのズボンの裾をぐいぐい引っ張る。レクターが見ているページを覗くとオレもびっくりした。女装したナツさんのピンナップがそこに写っていたのだ。瞬きしか出来ず、何が目の前で起こっているのかよく分からない。
週刊ソーサラーはたまに立ち読みをする程度で、ミラジェーンやジェニーのグラビア目的で立ち読みをだけだった。偶にフェアリーテイルの特集が組まれ、ナツさんの写真があると購入したりしたが、この号は持っていない。驚いた。
まさか女装グラビアとはさすがナツさんやることが違う。いや、そういう事ではないけど。
レクターから雑誌を受け取り、ページを捲る。ナツさんは照れながらもポーズを取らされているのがありありと分かるのが4ページほどで、次はフリルが沢山あしらわれたピンクの服を着た氷の造形魔導士、ミニスカメイドのメイクが濃いガジルさん、あとは東方の洋装をした名前が分からないやつがそれぞれ2ページほど。最後に各個人インタビューが1ページずつ。相当の物好きじゃ買わない仕様になっていた。

「これ、底の方にたくさんありますねぇ、ハイ」

買ったはいいものの、すぐに売られたんであろう。しゃがんで箱の底から何冊か取り出すと、全部同じ物が出てきた。みんな考えることは同じということか。しかし、オレは違う。手に持っていた女のグラビアなんかより、よっぽどオカズとして使えると思った。

「オレ、これ買ってくるからレクターは外で待っててくれるか?」
「えっ?!スティング君、そんなの買うんですか?!」
「良いだろ、丁度読みたい記事もあるし」

ほら、これといってミラジェーンのグラビアを指さす。レクターはああ、と軽く言っただけでその後は何も言ってこなかった。どうやら上手くごまかせた。もちろんオレの目的はナツさんの女装グラビアであってミラジェーンではない。
なぜならオレはナツさんの事が好きだからだ。憧憬ではなく、恋情。ナツさんの記事ならどんなものでも手に入れたい。収集癖があるのではなく、ナツさんだからだ。
オレは手にとった雑誌を持って店の中で会計をしに行く。
店主が手渡した途端、顔をしかめたのはもちろん言うまでも無い。


* * * * *


その後オレたちは夕飯を適当な場所で済ませて、自宅に戻った。それぞれの自室に戻り、今日来ていた服のままベッドに身を投げ出す。布団に片頬をつけて、隣に置いてある今日買った週刊ソーサラーを見る。表紙はミラジェーンの笑顔と水着姿でのウエストアップ。
そういえば、衝撃的に買ってしまったが、他の特集は知らない。
ぱらぱらと捲るとミラジェーンの巻頭グラビア、その当時人気だった魔法や、最新の鎧、そして魔導士人気の服、魔導士100人アンケートなど至って普通の内容だった。七年も前の情報なので取り立てて読もうとも思わない。
そして、ナツさんの女装グラビアページにたどり着く。すごくかわいい、なんてそんな言葉じゃないぐらいナツさんはかわいかった。いつも出しているふくらはぎは色の濃いストッキングで隠され、はき慣れない赤いエナメルのピンヒールを不器用そうに履いている。照明が明るいのか、太ももには照明が明るすぎるのか光沢が入り普段にはない色気を出している。バニースーツは水着のような形をしており、ベロア生地特有の上品な光が反射していた。
首元にはトレードマークのマフラーはなく、桜色の頭部には兎の耳のカチューシャがつけられている。
一ページ目はバストショット、真正面からと、背中側から振り向いたウエストショットが続く二ページ、最後は青空の下、満面の笑みのフルショットなナツさんが写っていた。誰が得する、という特集ページの組まれ方に思わず苦笑してしまったが、オレにとっては他でもなく宝物だ。

「むっちゃかわいい…」

独り言が勝手に口をついて出てしまう。
もちろんカメラマンの腕も高いと思うが、それ以上にナツさんはかわいく、口に言い表せないほどの魅力を醸し出しているのが十二分に伝わってくる。普段から露出が多い服を着ているが、それとは全く異なった衣装に、オレは興奮を隠せなくなる。
やばい。ナツさんの女装姿に情けなくも興奮してしまい、緩くオレの息子が固くなってきたのがわかる。まさしく買ったときに思ったオカズになってしまった訳だ。
自分の愚息っぷりにため息も出てこないが、生理現象だ。仕方が無い。
ナツさんのページをじっと見て妄想を膨らませる。もし本物のナツさんに着せたらどんな反応をするだろうか。
オレの頭を最大限に働かせて想像をした。

『スティング、お前バカだろ』

そう悪態を突きながらも着てくれるナツさんは優しい人だと思う。とってもよく似合ってるよ、と褒めると顔を真っ赤にさせて怒りだす。

『ば、ばっか!こんなの似合っても全然うれしかねぇよ!』

否定しても威厳がない。顔をぶんぶんと横に動かす度に揺れる兎の耳。ナツさん本当にかわいい。股間に目をやると、若干膨らんでいるのが分かる。オレはあ、ナツさん恥ずかしいの好きなんだ、と言って茶化してみる。

『ちがっ、ちがっ、これは、だなっ!』

違うと否定しても駄目、と妄想の中のオレはナツさんの股間に手を伸ばし緩く立ち上がってるそれに手を掛ける。
そして現実のオレも、手をズボンと下着の間に潜り込ませる。うわ、もう立ってるコイツ。
そのまま手を上下に擦ると、ビクリと腰が揺れた。ナツさんの女装だけでこんなだ。実際ナツさんがやってくれたらオレはどうなってしまうんだろう。
再び妄想の中へ戻っていく。ナツさんはオレの手を押しのけようと、両手でオレの指に絡ませる。こういうところが本当にかわいらしい。

『や、やだ、スティング、さわっ』

感じるらしいのかピクンピクンと、小刻みに反応する。亀頭あたりの部分を親指の腹で擦ってやると、盛大な反応が返ってくる。顔を俯けて、恥ずかしそうに唇を噛んで声を殺している姿が本当に健気だ。
でも、そんなことしてもナツさんは喘いじゃうんだよね。

『んっ、…っ、ふっ…』

妄想のナツさんの漏れる声に合わせて、オレの愚息を優しく扱く。そして、同じくナツさんのモノを服の上から扱いてやる。もう形がはっきり分かるそれは、自己主張をしており伸びないエナメル生地の中で窮屈そうにしていた。

『っ、すてぃ、っ…!んっ、んっ…っ!』

ナツさん、言わないとわかんないよ?とオレは顔を耳に近づけて囁くように言うと、オレの吐息さえ感じるのか身体をふるわせて、首を横に振る。

『や、っ、耳っ…!んっあっ、っ』

耳たぶを甘噛みしてやると、びくびくと身体を大きく震わせてくる。もちろん、ナツさんの自身を扱くのはやめない。ちゅっ、ちゅっ、と顔中に触れるだけのキスを施すと、くすぐったそうに笑う。ナツさん、かわいいナツさん。
と、ここでオレの手の方が盛り上がってくる。先走りでぬるぬるしている自身の扱いている手を速めていく。みっともないぐらい腰が動き、自分を追い上げていく。それに伴って声が漏れてしまう。ああ、こんな姿誰にも見せられない。いや、ナツさんには見て欲しい気がする。っていうか、ナツさんの一人でしてる姿が見たい。それで、オレに見られて恥ずかしそうにして、自分を追い上げていく。淫らな姿を想像する。ラストスパートに一気に持っていく。

「っ…」
『あっ、あっ!んっ、すてぃ、んぐ、出るっ!中、ぐちゃぐちゃに、なる、からぁっ…!』
「っは…」

想像のナツさんはせっかく噛んでいた唇を離してしまい声を抑えるのを忘れ、喘いでる。オレも、もう、出る。
ベッド脇のティッシュを何枚か無我夢中でつかんで、自分の精液が出てくる前に自身に押しつけて、オレは達した。最近ご無沙汰だったので派手に出てしまった。愚息よ、早すぎるだろ。もう少し待てなかったのか。

「うわっ、オレはバカか…」

精液を出したばっかりの気怠さに全身襲われていたが思わず声に出して言ってしまった。
妄想して愚息を起てて、自慰をするなんてガキじゃあるまいし。はあ、とティッシュを丸めてベッドの上から腕だけでゴミ箱に目掛けて放るが、壁に当たるだけでゴミ箱の中には入っていかなかった。
そういや、妄想の中のナツさんはイってなかったな。イく前の顔、凄く切羽詰まっててかわいかった。自分の妄想力に感謝したくなる。
今後とも、この本にはお世話になるだろう。そうぼんやりと考えて目を瞑る。
明日はナツさんに会える気が、何となくした。



スティングのオカズ=ナツ