メモ
No.85
2020. Sep. 19(Sat)
✎
!
なんかのはずみで原作をみて、passionで書いたりするんですよね
自分は勿論そういうタイプなのでよくわかるんですが何がどうおこって、再熱するか分かんないもんだな
.5もなんであのタイミングに見た…?みたいなところがあるし、違うジャンルはたまたま配信されてたものを見たらがっつりハマったっていうのもあるので分からんよ…?
そんな訳で短文~~~スティングのキャラクエ2ネタバレあります。
#短文
続きを読む
「と、言うわけでナツさんがルーシィさんのこと教えてくれたおかげで出来たわけ。ありがとうね、ナツさん」
面白いか面白くないか、と今聞かれたらこう答えるだろう。なんにも面白くない、と。
適合しなかったとはいえ、他にクエストに行っていたとはいえ、随分と面白くない話を聞かされている、とナツは思った。
スティングの話をまとめると、遺跡の調査をお願いされたスティングは星霊魔導士が使用する鍵が関係していることもあり、ユキノと共に調査を行う予定だったが、調査に関してのレポートをまとめなければならず、どうしたものがと悩んだ末に、以前自分がスティングに「ルーシィは小説を趣味で書いている」と何かの折に話したことを思い出したらしく、妖精の尻尾を訪ねてきた。
自分はその場におらず、ルーシィに依頼内容と小の話をしたらしく二つ返事で3人で行くことになり、道中、ユキノが魔物に襲われ鍵を盗られたが、魔物が逃げ込んだ先が調査依頼のあった遺跡で魔物を倒し、鍵も無事に取り戻せたらしい。
鍵は魔力が既になくなっており、ただの飾りと化していたがユキノが大切に持って帰ったそうな。
「ふーん。良かったな」
話を聞かなければよかった、と内心で後悔さえする。
自分が居ないところでクエストが進むのは分かるし、ルーシィにもスティングにも付き合いがある。ルーシィがその気がない、スティングにももちろんその気が無いとは言え、やはり面白くないものは面白くなかった。
楽しそうに話をするスティングに少しだが苛立ちが募った。
ルーシィは相棒だ。友人以上、恋人未満。家に無断で上がり込んで居座っても怒られはするが、出ていけとは言われないそういう仲だ。
だが、スティングは異なる。他のギルドで長をしてるとはいえ、曲がりなりにも恋人という確かな冠がついており、疎い自分でも大切に思っている。
ルーシィとスティング、間違ってもそういう事は起こらないはずだと思っているが、万が一、億が一がある。そうやって起こりもしないことにもやもやして、あらぬ疑いを家族にかけてしまいそうになる自分にも苛立つ。
返事をつっけんどんに返し、ギルドの机に伏せた。
「ナツさん、冷たくない?」
「冷たくねぇだろ。グレイじゃあるまいし」
「グレイさんとはまた違った冷たさというか」
「何が言いたいんだよ」
「えっと」
スティングは顔を覗きこんではこなかった。少し困った声色が隣の席から降ってくる。
「ルーシィさんと行って欲しくなかった?」
「っ!」
瞬間的に顔を上げそうになるが、ぐっとこらえてそのまま伏せる。当たらずといえども遠からず、だ。ルーシィと行って欲しくないわけではない。スティングが、ルーシィと行って欲しくないのだ。
はた、と気が付きまばたきを一度する。
この感情に覚えがある。今までは見てみぬふりが出来た。でも今は違う。
「でもなーあのクエスト、ルーシィさんじゃないと難しかったし、ルーシィさんが小説書いてること、ナツさんが教えてくれなかったら出来なかったんだけど」
スティングは後頭部をかきながら、自分の態度に困っています、という声色で、こちらに話しかけてくる。
どうやらスティングはまだナツのそれに気が付いていないようで、案外鈍いところもあるのだ、と意外な一面を知る運びになってしまった。
もしかしたら自分がそういった醜い感情を持たないと思われているのだろうか。もちろん違うところもたくさんあるが、根本は同じだ。特に相手が恋人ならなおのことではないだろうか。そう考えると少し腹が立つ。
「ナツさん、顔上げてよ」
どう答えてやろうか。ナツは顔は上げずに不機嫌を表す。
この少しばかり鈍い恋人に、ひどい言葉を投げつけるのは簡単だが、それでは面白くない。
「機嫌が悪いのは分かったから、なんでか教えてくんね?」
「……やだ」
「言われねぇと分かんないって」
どんなに五感が鋭いと言われている滅竜魔導士だって、感情までは読み取ることは出来ない。それぐらいナツだってわかる。だからルーシィの部屋に行くことについて怒られたりするのはそういう事であることは知っている。
とは言え、自分と出会う前に多少は遊んでいたらしい恋人は感情にも鋭いからこそモテていたのではないのだろうか。ちょっとした誤算だったのかもしれない。
はあ、とついに観念しナツは大袈裟なため息をつきながら顔をノロノロと上げる。
困っていると思っていた予想は大きく外れ、人の悪そうなニヤニヤとした笑みを浮かべていた。
「……スティング」
「ごめん。ナツさんが不貞腐れてんのが可愛くて意地悪してた」
ナツは自分が思っていたより低い声が出てしまったことに気が付く。眉を思い切り寄せて、下唇を突き出したところで何かが変わるわけではなかった。
「分かってたのかよ。性格悪ぃ」
「だって妬いてくれてんだろ? 可愛くて仕方なかったんだって。ルーシィさんと一緒に行った時からこうなるだろうな、っていうのはなんとなくね。それから報告は義務だし」
最初からこうなるであろうと予想をされていたようで、本当に面白くない。スティングの手のひらで踊らされるように、結局は見透かされていた。
「うー……」
ナツは唸り声をあげるしかなく返す言葉が見つからない。一枚上手なのはスティング。
半ば悔しさを顔に出しながらスティングと視線を合わせると、嬉しさを滲ませている虹彩が目に飛び込んで、文句を出そうにも出せなくなってしまった。
こういうところが敵わない。好きで好きで、たまらない。それを素直に出せるのが羨ましくもあり、ナツがスティングの好きなところの一つだった。
ついに観念し、ナツは視線を外しながら小声で強気を装った。
「……次から連れてけよな」
「内容によりけりだけど、次はサシで行こうぜ。デートも兼ねてさ」
「メシ、奢れよ」
「ん。三食ね。お手柔らかに」
「どーだか」
嫉妬などやはりするものではないと、結論付けた。スティングを好きなことには変わりはない。だから、ないものをねだっても仕方がないので、その分だけ彼と思い出を作ればいい。
思っている以上に彼が好きなんだと、まざまざと分からされたナツは、眉間の皺が取れないままテーブルに置かれていた水をぐいっと飲み干した。
畳む
favorite
ありがとうございます!
ユーザ「のど」の投稿だけを見る
(※
時系列順で見る
)
どのカテゴリにも属していない投稿だけを見る
(※
時系列順で見る
)
この投稿日時に関連する投稿:
2020年9月の投稿だけを見る
(※
時系列順で見る
)
この投稿に隣接する前後3件ずつをまとめて見る
この投稿を再編集または削除する
« No.84
/
No.86 »
初期表示に戻る
■メモなど:
目標
-ここは当面好き勝手に呟くところ
-週1
-月1
編集
FT
(15)
PS4
(13)
拍手
(6)
サイト
(5)
短文
(3)
アナデン
(1)
日付一覧:
2024
年
(144)
2024
年
11
月
(13)
2024
年
10
月
(22)
2024
年
09
月
(23)
2024
年
08
月
(12)
2024
年
07
月
(9)
2024
年
06
月
(9)
2024
年
05
月
(15)
2024
年
04
月
(12)
2024
年
03
月
(10)
2024
年
02
月
(10)
2024
年
01
月
(9)
2023
年
(127)
2023
年
12
月
(20)
2023
年
11
月
(32)
2023
年
10
月
(10)
2023
年
09
月
(7)
2023
年
08
月
(12)
2023
年
07
月
(25)
2023
年
06
月
(20)
2023
年
05
月
(1)
2022
年
(32)
2022
年
12
月
(2)
2022
年
11
月
(12)
2022
年
10
月
(13)
2022
年
09
月
(5)
2021
年
(41)
2021
年
11
月
(1)
2021
年
08
月
(4)
2021
年
07
月
(2)
2021
年
06
月
(3)
2021
年
05
月
(3)
2021
年
04
月
(5)
2021
年
03
月
(9)
2021
年
02
月
(1)
2021
年
01
月
(13)
2020
年
(142)
2020
年
12
月
(4)
2020
年
11
月
(16)
2020
年
10
月
(28)
2020
年
09
月
(34)
2020
年
08
月
(51)
2020
年
07
月
(9)
日付検索:
全年月 (486)
2024年 (144)
2024年11月 (13)
2024年10月 (22)
2024年09月 (23)
2024年08月 (12)
2024年07月 (9)
2024年06月 (9)
2024年05月 (15)
2024年04月 (12)
2024年03月 (10)
2024年02月 (10)
2024年01月 (9)
2023年 (127)
2023年12月 (20)
2023年11月 (32)
2023年10月 (10)
2023年09月 (7)
2023年08月 (12)
2023年07月 (25)
2023年06月 (20)
2023年05月 (1)
2022年 (32)
2022年12月 (2)
2022年11月 (12)
2022年10月 (13)
2022年09月 (5)
2021年 (41)
2021年11月 (1)
2021年08月 (4)
2021年07月 (2)
2021年06月 (3)
2021年05月 (3)
2021年04月 (5)
2021年03月 (9)
2021年02月 (1)
2021年01月 (13)
2020年 (142)
2020年12月 (4)
2020年11月 (16)
2020年10月 (28)
2020年09月 (34)
2020年08月 (51)
2020年07月 (9)
新しい順(降順)
時系列順(昇順)
ギャラリーモードで表示
総数: 1件
最終更新: 2024/11/21(木) 16:30:20
RSSフィード
自分は勿論そういうタイプなのでよくわかるんですが何がどうおこって、再熱するか分かんないもんだな
.5もなんであのタイミングに見た…?みたいなところがあるし、違うジャンルはたまたま配信されてたものを見たらがっつりハマったっていうのもあるので分からんよ…?
そんな訳で短文~~~スティングのキャラクエ2ネタバレあります。 #短文
「と、言うわけでナツさんがルーシィさんのこと教えてくれたおかげで出来たわけ。ありがとうね、ナツさん」
面白いか面白くないか、と今聞かれたらこう答えるだろう。なんにも面白くない、と。
適合しなかったとはいえ、他にクエストに行っていたとはいえ、随分と面白くない話を聞かされている、とナツは思った。
スティングの話をまとめると、遺跡の調査をお願いされたスティングは星霊魔導士が使用する鍵が関係していることもあり、ユキノと共に調査を行う予定だったが、調査に関してのレポートをまとめなければならず、どうしたものがと悩んだ末に、以前自分がスティングに「ルーシィは小説を趣味で書いている」と何かの折に話したことを思い出したらしく、妖精の尻尾を訪ねてきた。
自分はその場におらず、ルーシィに依頼内容と小の話をしたらしく二つ返事で3人で行くことになり、道中、ユキノが魔物に襲われ鍵を盗られたが、魔物が逃げ込んだ先が調査依頼のあった遺跡で魔物を倒し、鍵も無事に取り戻せたらしい。
鍵は魔力が既になくなっており、ただの飾りと化していたがユキノが大切に持って帰ったそうな。
「ふーん。良かったな」
話を聞かなければよかった、と内心で後悔さえする。
自分が居ないところでクエストが進むのは分かるし、ルーシィにもスティングにも付き合いがある。ルーシィがその気がない、スティングにももちろんその気が無いとは言え、やはり面白くないものは面白くなかった。
楽しそうに話をするスティングに少しだが苛立ちが募った。
ルーシィは相棒だ。友人以上、恋人未満。家に無断で上がり込んで居座っても怒られはするが、出ていけとは言われないそういう仲だ。
だが、スティングは異なる。他のギルドで長をしてるとはいえ、曲がりなりにも恋人という確かな冠がついており、疎い自分でも大切に思っている。
ルーシィとスティング、間違ってもそういう事は起こらないはずだと思っているが、万が一、億が一がある。そうやって起こりもしないことにもやもやして、あらぬ疑いを家族にかけてしまいそうになる自分にも苛立つ。
返事をつっけんどんに返し、ギルドの机に伏せた。
「ナツさん、冷たくない?」
「冷たくねぇだろ。グレイじゃあるまいし」
「グレイさんとはまた違った冷たさというか」
「何が言いたいんだよ」
「えっと」
スティングは顔を覗きこんではこなかった。少し困った声色が隣の席から降ってくる。
「ルーシィさんと行って欲しくなかった?」
「っ!」
瞬間的に顔を上げそうになるが、ぐっとこらえてそのまま伏せる。当たらずといえども遠からず、だ。ルーシィと行って欲しくないわけではない。スティングが、ルーシィと行って欲しくないのだ。
はた、と気が付きまばたきを一度する。
この感情に覚えがある。今までは見てみぬふりが出来た。でも今は違う。
「でもなーあのクエスト、ルーシィさんじゃないと難しかったし、ルーシィさんが小説書いてること、ナツさんが教えてくれなかったら出来なかったんだけど」
スティングは後頭部をかきながら、自分の態度に困っています、という声色で、こちらに話しかけてくる。
どうやらスティングはまだナツのそれに気が付いていないようで、案外鈍いところもあるのだ、と意外な一面を知る運びになってしまった。
もしかしたら自分がそういった醜い感情を持たないと思われているのだろうか。もちろん違うところもたくさんあるが、根本は同じだ。特に相手が恋人ならなおのことではないだろうか。そう考えると少し腹が立つ。
「ナツさん、顔上げてよ」
どう答えてやろうか。ナツは顔は上げずに不機嫌を表す。
この少しばかり鈍い恋人に、ひどい言葉を投げつけるのは簡単だが、それでは面白くない。
「機嫌が悪いのは分かったから、なんでか教えてくんね?」
「……やだ」
「言われねぇと分かんないって」
どんなに五感が鋭いと言われている滅竜魔導士だって、感情までは読み取ることは出来ない。それぐらいナツだってわかる。だからルーシィの部屋に行くことについて怒られたりするのはそういう事であることは知っている。
とは言え、自分と出会う前に多少は遊んでいたらしい恋人は感情にも鋭いからこそモテていたのではないのだろうか。ちょっとした誤算だったのかもしれない。
はあ、とついに観念しナツは大袈裟なため息をつきながら顔をノロノロと上げる。
困っていると思っていた予想は大きく外れ、人の悪そうなニヤニヤとした笑みを浮かべていた。
「……スティング」
「ごめん。ナツさんが不貞腐れてんのが可愛くて意地悪してた」
ナツは自分が思っていたより低い声が出てしまったことに気が付く。眉を思い切り寄せて、下唇を突き出したところで何かが変わるわけではなかった。
「分かってたのかよ。性格悪ぃ」
「だって妬いてくれてんだろ? 可愛くて仕方なかったんだって。ルーシィさんと一緒に行った時からこうなるだろうな、っていうのはなんとなくね。それから報告は義務だし」
最初からこうなるであろうと予想をされていたようで、本当に面白くない。スティングの手のひらで踊らされるように、結局は見透かされていた。
「うー……」
ナツは唸り声をあげるしかなく返す言葉が見つからない。一枚上手なのはスティング。
半ば悔しさを顔に出しながらスティングと視線を合わせると、嬉しさを滲ませている虹彩が目に飛び込んで、文句を出そうにも出せなくなってしまった。
こういうところが敵わない。好きで好きで、たまらない。それを素直に出せるのが羨ましくもあり、ナツがスティングの好きなところの一つだった。
ついに観念し、ナツは視線を外しながら小声で強気を装った。
「……次から連れてけよな」
「内容によりけりだけど、次はサシで行こうぜ。デートも兼ねてさ」
「メシ、奢れよ」
「ん。三食ね。お手柔らかに」
「どーだか」
嫉妬などやはりするものではないと、結論付けた。スティングを好きなことには変わりはない。だから、ないものをねだっても仕方がないので、その分だけ彼と思い出を作ればいい。
思っている以上に彼が好きなんだと、まざまざと分からされたナツは、眉間の皺が取れないままテーブルに置かれていた水をぐいっと飲み干した。畳む